マリオネット・ワールド <短>
鳴海悠は、有沢知美の死を、その部屋の隣に住む男から聞いた。
警察に詳しく事情を聞かれるのかと、少しばかり恐れにも似た想いで構えていたが、
事情聴取に訪れた警察のヤル気はすでに削げていて、形だけ取り繕ったような、気の抜けたものだった。
有沢知美という絶対的な犯人を前に、事件はすでに完結していたのだ。
それから、隣人の男は、有沢知美との繋がりを保ち続けるためだけに、とりあえず彼氏と呼べるポジションに定住させていたが、
その知らせを聞いてすぐに切り捨てたので、その後、鳴海悠があの場所に行くことはなかった。
一方で、佐伯歩の方が、有沢知美に深く関わっていたものの、
こちらもまた、事情聴取に来た警官に、さほど中身のないような軽い話をするだけで済んでいた。
二人は、勝者の笑みを浮かべる。
“有沢知美”という操り人形に気を取られ、その下で更に操られた、愚かな者達に向かって――