マリオネット・ワールド <短>



この街一番の繁華街に繋がる駅に列車が停車すると、実に今時と形容すべき女子高生が乗り込んできた。


先ほどまでの静静とした雰囲気を切り裂くような、高らかな笑い声を上げながら。



そうかと思えば、その中に身を置く一人は、そんな会話に愛想笑いを浮かべながら、

携帯画面に夢中で齧りついていたりする。




一瞬で一変してしまったかのように見えた車内だが、やはり車内を取り囲む空気は冷静だった。


普通なら、顔をしかめるような仕草にも、相変わらず、例の男女は眉ひとつ動かさない。



そして、遊び慣れた女子高生達は、そこに座る男と女の存在など、まるで無であるかのように

自分達だけしか、そこに存在しないと思っているように見えた。



だが、この男女とて、ソイツらと同じだった。

誰もが皆、それぞれの世界を持っているのだ。



世界と離れているのは、女子高生なのか、それとも男なのか、女なのか。

あるいは、全ての奴らなのか……



だけど本当は、同じなのかもしれない。


この女子高生達のように、大声を立てて、自分の世界を誇示しようとするか、

残り二人のように、誰にも触れることができない、自分ひとりの世界で満足するか。


その違いだけだ。



その女子高生達には女子高生の、男女には男女の世界がある。



自分達、あるいは自分だけの居空間を創り出しているのだ。


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