死神彼女
「それは…………」



そこまで言うと女はう゛…っと言葉に詰まらせた。

何か言えない理由でもあるのだろうか?


そう不思議に思っていると女は何かを思い立ったように、言った。


「プップレゼントですっ」

「………」


意味不明。

眉を寄せた俺に女が手をあたふたと動かす。


「…あっ…と!特別なんですっっあなた、丁度…死神界での抽選に当選…したんです」


怪しい。明らかに。


「……嘘はいいから。本当の事を言えよ」


俺の低く冷たい声に一瞬体をビクッと揺らしたが、女はひとつ深呼吸をし、俺を真っ直ぐ見据えて言った。



「言えません。これだけは」



真剣な、揺るがない、真っ直ぐな眼差し。


こんな視線は嫌いじゃない。

嘘を隠し、揺らいだ、嫌な視線を向けるより何倍も何倍も気持ちがよい視線だった。


「じゃあいいよ、続けて」


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