切なさに似て…
いつものようにブザーのマヌケな音を聞き、部屋に足を踏み入れる。

香ばしい匂いが部屋中に充満していて、空腹状態のお腹がゴロゴロと暴れた。


「今日のご飯は何?チャーハン?」

私は部屋に入るなりジャケットを脱ぎ、手を洗いながら座椅子に腰を下ろした信浩にそう聞いた。


「そ、チャーハン。昨日食いたがってただろ?柚果が遅いから先食ったけど、残ってっから」

その言葉に、尚更お腹が暴れ回る。


「信浩はチャーハンだけは作るの上手いよねー」

と、フライパンの蓋をそーっと取り中を覗くと、信浩の作ったチャーハンが早く食べてと言っているみたいだった。


「だけはって強調し過ぎじゃねーか?けなしてんだろ」

「いーや、違うよ。一応褒めてんだよ」

濡れた手を拭い、チャーハンを盛ったお皿を両手に乗せ、テーブルの前に座る。


「どこがだよ。つーか、柚果がチャーハンだけは下手なんじゃねーの?ベチャっとしてるもんな」

「凄いしょ?」

得意顔をした私に、信浩は呆れた表情を見せた。
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