切なさに似て…
「まだ余ってるから、明日の夜食べよーっと。明日は信浩いないし。冷蔵庫入れとけばいいよね?」

そう言って、冷蔵庫に入れると。


「俺、明日いるけどね」

と、吐き出した煙の奥から聞こえてきた声。


「は?だって…」

私は一瞬、言うのを躊躇った言葉を吐き出した。


「彼女んとこじゃないの?」

「んなの、2週間前にとっくに別れてるから」

ひょうひょうとした態度で、そんなことを言われた私の目はキョロキョロと泳ぐ。


「えーっ?今回は割と早くない?」

何とか平静さを保たせ、驚いて見せた。


「そうだっけ?」

信浩はそれだけ言うと、さほど気にした様子も見せないでタバコの火を消す。


「…シャワー浴びよっと。もう乾いてるよね」

と、独り言のように呟き、昨日干した洗濯物の中から自分のスウェットを下ろす。

手で触り完璧に乾いていることを確認し、そそくさと浴室へと逃げ込んだ。
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