切なさに似て…
表通りを過ぎ去る車のヘッドライトのまばゆい光が倉庫の壁をチカッと照らす。

知ってましたよ。そう臆すことなく言われた一言に、私は白崎さんの横顔を凝視するばかり。


だんまりする私を見て、彼女はニッコリ微笑んだ。

「何でわかったのか。って顔してますよー」

ギョッと見開いた私の目に気付き、さも可笑しそうに笑って更に口を動かす。


「アハハッ。ん~、そういうの隠してても雰囲気でわかっちゃいますよ。あたしの恋愛レーダー、ビビビッって反応しまくりでしたよー」

アンテナのように頭上で人差し指を立てて、そんなふうに明るく笑って言われてしまうと、ひた隠しにしていた事が馬鹿らしく思えた。


すっかりぬるくなったコーヒーを一口、流し込み。

「それって…、最初からわかってたの?」

敢えて確かめるかのように聞いてみる。


「なんとなーく、気づいたのはー…。去年の夏くらいですかねー?他の社員さんは気づいてなかったみたいですけどねー」

彼女は考え込むように首を傾げ、真っ黒に染められた空を見上げる。
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