切なさに似て…
ドライヤーを唸らせると、レナは鏡の奥から困ったような顔を覗かせる。

「短くするのって校則違反じゃないの？」

優等生並の真面目な疑問を振り落とされ、私は手を止めることなく笑い飛ばした。


「そんなこと言ったら、全校生徒みんな校則違反だわ」

高笑いした私にレナは眉を寄せ「そうかな…」と、曖昧な苦笑いを浮かべる。


自分の姿を窓に写し出し、恥ずかしげに何度も覗き込むレナは、よっぽど嬉しいんだろうと、勝手にそう思い込む私。


「もう、さっさと着替えるなりシャワー浴びるなりしなよ。そんなのこれからいやってほど着れるんだから」

レナに白い目を鏡越しに送ると、テキパキと制服を脱ぎ、丁寧に畳んで元通りに箱へと大事そうにしまい込む。


ぱっぱと自分の荷物の中から着替えを取り出し、あたふたと騒がしく浴室へと消えて行った。


あんなに感情を剥き出しにしたレナは久しく見ていなかったからか、何だか別人のように見え接し方に頭を悩ます私は。

今まで通りでいいんだ。と、明白な結論が出るまでに、シャワーを終えたレナが戻ってくるまで時間がかかった。
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