切なさに似て…
さっちゃんは、疲れを知らない口の動きを止めることなく、またもや私は唇をしっかりと結び、終止無言のまま目的の駅へと辿り着いた。

さっちゃんの彼氏にお礼を述べ、車から降りると。

「また遊ぼうね。電話待ってるね。好きな人と上手くいかなかったら教えてよ、いい人絶対紹介するから」


これからその、“好きな人”に会いにいくところだというのに、縁起でもないことを口にしたさっちゃんに、何も答えず手だけ振った。


人の話しは、聞いちゃいないのか…。

それだけわかれば十分で、この先。私から連絡することはないんだろうな。と、他人事かのように、遠ざかる車に向かって呟いた。


駅の階段を駆け上り、切符を購入し急いで改札口を潜る。

携帯のディスプレイを開き、時間を確認しようとした時、丁度よく麻矢からのメールを受信した。


[がんばれ]

本文を開いてみると、たったその一言だけ。

カーソルを下に合わせると、決まり文句がずっと下部に付け足されていた。


[信浩によろしくー]


思わず笑ってしまい。

「もういいって」

治も麻矢も似たような文面を送り付けてきて、「しつこいって」と返信した。
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