切なさに似て…
「2人で、どっちかの部屋で飲み明かしてるの?」

「間違いは起こらないって。あの人は仙台に彼氏がいるし、俺は高卒出だから社会人4年生だけど、まだまだ足りないわけ。手当たり次第盗まなきゃなんねーし。色々話を聞けば勉強にはなるの」

「…うん」

「柚果とは友達だったから、彼女じゃないだろ?だから、他に言いようがなかったんだ。まさか、あの場で俺の好きな子です、なんて言えやしないだろ?仕方ねーだろ」

そう言い切られては言い返す言葉が見つからない。

納得はできなくても、言いたいことはわかる。きっと、私が同じ立場なら、先輩であるなら“友達”と説明していたと思う。


「不満?」

「別に…」

疲れた表情をちらつかせ、カチンっと静かにジッポの蓋を開けると煙草に火をつけた。


不満というか、私の知らない信浩がここに存在してるっていう事実がショックなのかもしれない。

男と女が同じ部屋で飲んでいて、果たして何もないかって言ったら、なくもない話。

先輩というくらいだから信浩よりも年上。でも、綺麗な人だった。

間違いが、起こらないとは言い切れない。


わざと頬っぺたを膨らませ、いかにも膨れた顔をしていると、信浩は乾き切っていない前髪を揺らす。

近づいてきた顔が目の前でアップに映り、そっと唇が瞬時に熱が籠る。短い口づけのあと、口角を上げ柔らかな表情を見せる。


「柚果が思っているような関係じゃないって。なんもないから。…もしかしてさ? …焼きもち?」


って、聞く?フツー?
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