切なさに似て…
「…うん。待って、るよ…」

「って、寝るの早えーよ」

「だって…、落ち着くから」

「たまにでいいから香水もつけろよ?あと、たまにでいいから柚果からも電話してくれよ?それから、たまに…」

「たまに、たまにって…、たまにじゃなくて、…いつも、でしょ…?」

笑い声交じりにおかしそうに言うと、信浩も優しそうに笑って。


「ははっ。…そうだな」

って、遠退く意識の狭間で、もう一度確かめるみたいに。


きつく私の身体を抱きしめた。


「柚果?…おやすみ」


「信浩…。おやすみ…」


そう言い合って、お互い安心したかのように眠りに就いた。



ねえ、信浩?

こうして、信浩の腕の中にいるだけでなんだかほっと安心する。

こうして、その低い声を聞きながら。

こうして、いつもの煙草と紅茶と柔軟剤の香りを。

こうして、腕に包まれているともう離れたくないし、離したくない。

いつまでも、抱きしめていて欲しいと思ってしまう。
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