切なさに似て…
仕事を終え自宅へと足を運ばせるのは、3日振りだった。

…土曜日だからいるんだろうなぁ。


“須賀マンション”と、大屋さんの名前が付けられた一応マンションという名のボロアパート。

築35年、2階建てのアパートは35年間一切手を加えられずに今も直、役目を成している。

外装のモルタルは所々剥がれ落ち、年季の入った錆び付いた階段はギシギシ唸る。


鍵を差し込んだ鍵穴に違和感を覚え、ドアノブを捻る。ガチャと開いた扉。

…やっぱりあの人いるんだ。

がっくりと肩を下げ、部屋の中へと一歩足を踏み入れる。

入った瞬間、足の踏み場がない程靴やら服やらが散らばり、床を覆い隠していた。


「お姉ちゃん…?」

その声にビクッと心臓が跳ね上がる。


「っ!…びっくりした。あんた、いたんだ?」

「あの人ならまだ帰って来ないよ。今日は7時くらいじゃない?」

そう言うと、妹のレナは洗い物を始めた。
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