切なさに似て…
私が19歳の時って…。

そんなこと一度も考えたことなかったなぁ…。

…欲しいものはたった1つだけだったから。


「でーもー…。結城さんと話すきっかけがないんですよねー。いつも澤田さんいるしー」

「ほんとに狙うつもり…?」

「もちろんですよー。今の彼氏同じ年なんですけどー。やっぱ大人の包容力には敵いませんってー」


そんな理由でフラれる彼氏も気の毒だ。

なんて、私が一番気の毒なことを相手に求めているくせに…。

自分のことを棚に上げてよく言うよ…、私も。


…包容力か。

あの時は私が子供じみていたから…、あの包容力に惑わされただけなのかも…。



休憩所の扉が開き、隙間からお局様が顔だけ出し。

「あなたたち!!喋ってないで手を動かしなさいっ」

と、厳しい目付きをして一喝した澤田さんによって、再び扉が閉められた。

怒られたのに、ニコニコと笑顔を作る彼女、白崎さん。理解に苦しむところは数知れず…。


どっちにしても煩わしいのに、さっちゃんとのお喋りより白崎さんと話している方が、よっぽど楽だと感じるのは何なんだろう。

一人で喋って、勝手に解決するところは一緒なのにな…。


キーボードを叩く気がさらさらない彼女をちらっと見て、私は小首を傾げてみた。


あぁ、そっか…。

押し付けがましくはないんだこの子。


一人納得した私は頷き、ディスプレイに目線を集中させた。
< 43 / 388 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop