僕は彼女の事を二度愛していた
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「加藤の?いったい、どう言う事でしょう?」
部長の質問の意図が、まるでわからない。どんな顔をしたらいいのか、まるでわからない。
「最近、加藤と一緒の電車になる事が多いらしいな。」
「はぁ、そうですね。最近ですけど、一緒になる事は多いですね。でも、それがどうかしましたか?」
「いや、それ自体は構わないんだが・・・。その時に何か気がついた事はないか?」
「気がついた事?特にないと思いますけどね。妙にハイテンションなのは、昔からだし・・・。いったいどうしたんですか?加藤が何かしましたか?」
なぜ部長が、ここまで加藤の事を気にするのだろう。この間、加藤と部長がモメた事が、関係しているのだろうか。気になり、それとなく聞いてみた。
「いや、それは関係ないんだ。ただ、最近あいつの様子がおかしいって、何人かの女子社員から苦情めいたものが来ていてな。結構な人数なものだから、ほっとく訳もいかないだろうと・・・。」
「それで、僕に聞いてきた訳ですか?」
「あぁ、そうだ。何かわかればと思ってな。事が事だ。まさか、本人に聞くわけにもいかないしな。」
「でも、様子がおかしいって、いったいどう言う感じにおかしいんですか?それがわかれば、何かわかるかもしれませんよ。」
部長は一呼吸おいた。
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