勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
ニッコリ笑ってカバンを手に取った。
早くみんなと離れたかったんだ。
そうじゃなきゃ涙が零れちゃいそうなんだもん。
泣いたらいけないんだもん。
真衣ちゃんだってつらいよね?
私だけがつらいんじゃないよね?
だから今日は早くひとりになりたいよ。
ひとりで泣いて全部洗い流したいんだ。
教室の入り口の前でバイバイって手を振った。
顔にはシッカリ笑顔。
貼り付けた笑顔でも笑ってたかったんだ。
それも小さな私の意地。
いつもみんなに子供扱いされてきた私の小さな意地。
「紫衣」
芽衣ちゃんの呼ぶ声に溢れて零れそうになる涙をぐっとこらえて教室のドアを開けた。