勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
「どうしたのだ左近。
バタバタと騒がしいぞ。」
殿の私室にはいってすぐに軽くお咎めを受けた。
でも真実怒っているわけではない。
いつも寄せている眉間の皺を見ると解るんだ。
「申し訳ありません。
急ぎご報告したき事があり、参上いたしました。」
頭を深々と下げたまま話す俺の頭の上から殿の大きなため息が聞こえた。
「話せ。」
聞いて下さる。
その言葉で俺は胸を撫で下ろした。
それと共に少女の話をどんな風に話そうかとヒヤヒヤと背中が冷たくなるのも感じていた。
「まずは視察のご報告を…」
「よい。視察の報告は明日聞くとしよう。
それよりも左近。
お前が夜更けに馬を走らせてまで話したい、その話の方に俺は興味がある。」
一刀両断。
少女の話は視察報告をしながら練り上げると考えていた俺の気持ちは殿の一言でバサリと切られた。
こうなったらお怒りは覚悟の上で包み隠さず話さねばならない。
俺としたことが何を焦っていたのか…。
今この場で殿を前にして、少女の事を一刻も早く話さねばと思った気持ちが益々解らなくなった。