勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
怖い!
だけど本当に紅葉さんて性格悪いよね?
恐ろしいと思いながらも悪態をつかずにはいられない。
心の中でだけだけど…。
だから気持ちを落ち着かせるために何度も挨拶を頭のなかで繰り返した。
「座れ。」
ぼんやりしている私の目の前には襖。
騒がしい声が洩れ聞こえる。
「俺が襖を開けるから頭を下げてから挨拶をしろ。」
「はい。」
「ヘマするなよ。」
「はい。」
偉そうな口振りに少々ムカつきながらも怖い思いはしたくないので素直に従った。
廊下に手をついて座り、頭を深く下げた状態でスタンバイ。
「奥方様のおなりです。」
声と共に開かれた襖。
そして同時にたくさんの視線を感じた。
「お初にお目にかかります。
うたでございます。
今宵はようこそおいで下さいました。」
清正にしたのと全く同じ挨拶をして顔を上げた。
一番最初に瞳に映ったのは三成。
私をじっと見つめている。
その熱い視線から私も視線が外せなかった。
だけど、二人を遮るように私の目の前には清正が姿を見せた。
「綺麗な奥方様だ。
石田殿が隠していたのも無理はない。
なぁ、正則。」
「あぁ、そうだな。」
さっきも同じ様にやりとりしなかったっけ?
清正って意外と食わせ物なのね。
「さぁ奥方様、殿のおそばに…」
私の後ろから襖を閉めて入ってきた紅葉さんの助け舟。
ナイス!紅葉さん!
心の中で小さくガッツポーズを決めて私は紅葉さんに手を引かれ立ち上がった。