勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
正直、妻と言われてもいまいち現実味がない。
実際、私はまだ18歳で結婚に憧れはしても自分の人生のずっと先のことだと思っていた。
まさかの戦国の世で暮らすなんてビジョンは持ってなかったわけで、
「妻って、夫って、そもそも夫婦ってなに?」
三成の質問に曖昧にしか応えられないのも、私の妻としての自覚がちっともないことも全部、私が『夫婦』を理解してないってところに繋がるのかなって漠然と思ったんだ。
夫婦とは?
結婚している一組の男女。
夫とは?
結婚している男女の男の方。
妻とは?
結婚している男女の女の方。
じゃあ結婚は?
男女が夫婦になること。
三成に聞かなきゃ私の認識薄すぎるよね?
っていうか、一般の知識が今の時代に通用してないし、私ももう少し愛情とか感情とかの部分を考えると自分の頭の中の知識が正解だなんて思わない。
「紫衣の時代の結婚については以前少し話してくれたな。」
「はい…。」
私がうたという名を名乗ると話した日の事だろう。
「俺の考えも同じだと思ってくれていい。
だが、他は違う。」
きっと一夫一婦ではないと言うことが言いたいのだろう。
「それは承知しています。」
「側室は持たないと約束したであろう?」
「はい。」
「では、再度問う。
俺の妻は誰だ?」
「うたという女性です。」
私の言葉に三成の眉間の皺が深くなった。