勝利の女神になりたいのッ!~第1部~
厄介だという言葉に心が凍りついた。
何故?
私がうたというのがいけないこと?
何かした?
何か間違った?
それとも根本的に私が妻になるのが嫌になったの?
顔色が青ざめていくのが自分でもわかった。
体中の機能が停止したかのように全身が冷えていく。
ショックが大きすぎると人間は涙も流すことが出来ないらしい。
だって泣きわめきたいくらいに悲しいのに涙が出ないんだもの。
「妻でなくてもあなたの側において下さい。」
「どういうことだ?」
「そのままの意味です。」
「…………。」
声が震えないようにお腹に力を入れて言葉を紡いだ。
私が妻では都合が悪くても、離れるのは嫌なの。
使用人の一人になっても構わない。
三成の側にいたい。
「紫衣?」
私は余程思いつめた様子だったのだろうか、三成は怪訝そうに私の名を呼んだ。