平安物語=短編集=【完】



それからというもの、東宮はよく私を訪ねてくださるようになりました。

とは言っても普段は亡き母君のご実家にお住まいですから、数ヶ月に一度参内なさった折だけですが、本当なら滅多なことではお会いできないことを考えれば、とても喜ばしく光栄なことでした。

我が父太政大臣や弟の大納言も、これ幸いとばかりに東宮のお世話をして差し上げ、帝は大層ご満足のようでした。



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