平安物語=短編集=【完】



驚いて自分の姿を確認すると、一応几帳の陰に隠れてはいるものの服と髪の裾が見えてしまっています。

居住まいを正すようにして隠れ込み、相手の出方を窺いました。


「今日、宮中で中将様をお見かけしましたよ。

昨夜は宿直だったそうです。」

私が黙っていると、そのまま話し続けます。

「そのままお帰りになったようですが、今日もいらっしゃらないそうです。

義理の父としては見逃せない浮気ですなと冗談を申し上げたら、苦笑いをなさっていましたよ。」


――あぁ、やはり…


打ちひしがれた気持ちでしたが、少将の手前、泣き出す訳にもいかず、なおも黙りこくっていました。

すると、少将がにじり寄って来ます。



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