平安物語=短編集=【完】
私は和琴、大輔は箏の琴で合奏をしたり、お喋りをしたり、生まれてくる大輔のお腹の子について話したりしているうちに、外は暗くなっていました。
――今頃、桜の宴は盛り上がっていることでしょうね…。
そんな事を考えていると、牛車が屋敷の中に入ってくる音がしました。
しかし先払いの声などは一切聞こえず、ひっそりとしています。
「何でしょう…?」
大輔も不思議そうにして、様子を見に行こうとするのを、ここに居るよう止めました。
帰って来たのが少将だったら……そう思うと、車がこっそりしているのが空恐ろしかったのです。