平安物語=短編集=【完】
しばらくすると誰かが部屋に入って来た気配がして、大輔が対応しているようでした。
大輔の言葉の内容までは聞き取れませんが、困りきっているようです。
すると、大輔ではないと思われる足音がこちらに近づいて来て、そのまま御帳台の帳を捲ってきました。
私はもう気を失わんばかりになって、掛け物を引き被ったまま背を向けて無視を通したのですが、何とそのまま中へ入って来るのです。
――大輔…!
声にならない叫びを上げて大輔に助けを求めるも虚しく、そのまま肩に手がかけられました。
「いや…っ!!」
私は思い切り振り払い、掛け物を被ったまま御帳台から逃げ出しました。