平安物語=短編集=【完】
…それからというもの、中納言様の私への入れ込み様は、世間でも噂になるほどです。
夜のお勤めが無ければ連日連夜やって来て、宴があっても早めに抜け出してやって来る。
ひどい時には、私の所に泊まった翌朝
「離れたくないなぁ…」
と言って、仮病を使って参内を怠る始末。
一日に一通は必ず文が届けられ……しょっちゅう、贈り物を持って来ます。
そんなになさらないでと言っても
「私がしたくてやっているのですから、適当に受け取ってもらえれば良いのですよ。」
と受け流されてしまい、もう結婚して半年が経ったのに全く変わらないのです。