平安物語=短編集=【完】
深く愛していたとは言えないけれど、さすがに情がわいていたので、私も涙が零れました。
「あなた様は、本当に誠実でした…
私のような者に、心より感謝申し上げます。
どうかお元気で。」
もう、夜が明けようとしています。
早く早くと私に急かされて、呆然と帰り支度をなさいます。
背を押して外へ出すとこちらを振り返りました。
「私は、変わりましょう。
あなたに認めてもらえるように…
そしたら必ず、再びあなたに逢いに来ます。」
私は笑顔を見せて、
「さようなら。」
と言いました。
もう、逢う気はありませんわ…