平安物語=短編集=【完】



もっとよく見ようと、歩み寄る。

「お見逃しくださいませ…」

震える声でそう言うが、腕を優しく掴んで下ろさせた。

じっと目を見ると、怯えた瞳で見返してくる。


本当に…更衣に似ている…


あまりに緊張したのか、へなへなとその場に座り込んでしまった。

「可愛い人…」

まるで、更衣のようだ。

クスッと笑って女を抱き上げ、近くの局に入た。


見逃すつもりは、さらさら無い。



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