平安物語=短編集=【完】
しばらくして、母上が戻っていらっしゃいました。
姫宮は父上が抱いています。
確かにその表情はニコニコと穏やかで、間違っても姫宮を疎ましいと思ってはいらっしゃらないようです。
「ほうら、お母上ですよ。」
そう仰って私の腕に姫宮を抱き取ると、内側が赤いおくるみの中で、姫宮が眠っていました。
「まあ…」
無邪気な愛らしさに、思わず微笑んでしまいます。
この姫が、私と東宮様との子…
半分を東宮様から受け継いでいるというだけでも、大切に愛おしく思われました。