平安物語=短編集=【完】
「まあ…造花…?」
驚いて梅に見入っている私を気にも留めず、東宮様は奥に入って行って姫宮をお求めになりました。
「おわーッ!」
聞き慣れない歓声に振り向くと、東宮様が、おくるみの中の姫宮を凝視していらっしゃいます。
先ほどの歓声のままの表情でそっとお手をのばすと、姫宮がキャッキャと笑いました。
「なあぁんと、まあ…」
笑った姫宮をご覧になって、東宮様の頬が赤く染まりました。
乳母に勧められておずおずと姫宮をお抱きになりますと、情けないほどにふにゃっとお笑いになります。
そんな御様子を拝見しまして、本当に産み甲斐のあることだったと思われました。