平安物語=短編集=【完】



昼前になって、姫が起きました。

目ざとくお人形を見つけて、遊び始めます。


「それは、弘徽殿女御様がくださったのですよ。」

と乳母が言うと、きょとんとしました。


「昨日お会いになりましたでしょう。
女御様でしよ、にょうごさま。」

するとパッと表情が明るくなって、

「にょごさま!にょごさまー」

と言ってお人形を振り回し始めました。


「まあ、大切になさいませ!」

と乳母に叱られても、お人形をにこにこと見つめて、「こ、にょごさま。」と言います。


ああ、やはり――


姫の心までも女御様に持って行かれたのかと思うと非常に辛いのですが、どうしようもありません。



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