平安物語=短編集=【完】
姫の袴着に伴って、私は更衣にと異例の昇進を致しました。
やはり東宮様はこの姫を大切に思ってくださっていて、それで私にも厚遇してくださるのだと思うと姫への愛情はますます深まります。
姫と一緒に参内し東宮様にお礼を申し上げますと、
「いえいえ、実は、悩んでいたのを弘徽殿女御が是非と推してくれたのですよ。
あなた方は本当にに仲がよろしいのですね。」
と仰いました。
「女御様が…」
そう伺いますと、敵に情けをかけられたような、何となく悔しい思いがするのでした。
そんな気持ちを押し殺して笑顔を浮かべ、
「もったいないことです。
是非女御に直接お礼を申し上げたいのですが、いかが思われますか?」
と申し上げました。
「良いのではないですか?
左右大臣のご息女が親しいというのは、後宮、ひいては政の安定にも繋がりましょう。」
「では、明日にでも打診させて頂きます。」
「ええ。」