平安物語=短編集=【完】
そして十二月の二十五日。
予定より早く、弘徽殿様が御出産あそばしました。
初めての男御子です。
世間の大騒ぎは言うまでもなく、帝の喜びようこそ大変でした。
姫御子達のお顔を見ても、まだ見ぬ若宮の噂ばかりなさいます。
とは言えまだ物も仰えない赤子ですから、噂と言っても、ちょっと笑ったとか何かを握ったとかです。
僅かな嫉妬を抱きながら、それでもやはり微笑ましく拝しておりました。
まるで、世間一般の妻のように。