平安物語=短編集=【完】



翌年には、三の宮が元服なさいました。

兵部卿の宮と申し上げます。

凛々しくおなりあそばしたお姿を見るにつけても、姉上にもご覧頂きたかったと涙が零れるのでした。

三の宮の御元服を機に、畏れ多くも院と、お手紙のやり取りをするようになりました。

私はもう尼の身分ですから色めいた事は無く、気楽なものです。

そしてある日、

『亡き方をよくご存知のあなたと直接お話しして、この辛さを少しでも癒やしたいものです。』

とお誘いがありました。

不吉な尼姿が憚られて一度はお断り致しましたが、何度もお誘いくださるお心がもったいなく、父上もお勧めになるので、謹んで参上することになりました。



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