平安物語=短編集=【完】
「………え。」
間の抜けた声を発した私に、右近がにっこりと笑いかけました。
「さあ、どうぞ。」
手紙を受け取って読んでみると、どうやら本当に、あの夜の方のようです。
「でも、どうしてこんなに長い間音沙汰が無かったのでしょう?
あの方…式部卿宮様は、ずっと前から私のことを知っていると仰せでしたのに。」
そう疑問を投げかけると、右近がギクリとしました。
「さあ…やはり高貴な御身ですから、色々お忙しいのでは?
宮様御自身にお尋ねあそばしませ。」
そう言って、話題を変えられてしまいました。