平安物語=短編集=【完】



「………え。」

間の抜けた声を発した私に、右近がにっこりと笑いかけました。

「さあ、どうぞ。」

手紙を受け取って読んでみると、どうやら本当に、あの夜の方のようです。


「でも、どうしてこんなに長い間音沙汰が無かったのでしょう?
あの方…式部卿宮様は、ずっと前から私のことを知っていると仰せでしたのに。」

そう疑問を投げかけると、右近がギクリとしました。

「さあ…やはり高貴な御身ですから、色々お忙しいのでは?
宮様御自身にお尋ねあそばしませ。」

そう言って、話題を変えられてしまいました。



< 590 / 757 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop