平安物語=短編集=【完】



夜になって、人々が下がった後で右近が参りました。


「ああ、やっとお側に上がれました。
これをご覧に入れなければならなかったのです。
さあ、式部卿宮様から、初めてのお手紙の日に一緒に頂いたものでございます。」


驚きました。

別荘のお方の話だと思ったのに、まさか式部卿宮様だなんて。


「なんてことなの、右近、あなたまで。
私は、あの別荘でお会いした方の話だと思って呼んだのですよ。
そんな物は見せないでちょうだい。」

右近から顔を背けて、出て行くように促しました。

すると右近が、

「まさか、姫様。
あの別荘のお方がどなたか、ご存知ないのですか?」

と言います。

黙っていると、

「そうですね、姫様はどこかへお出かけになるようなことは滅多にありませんから、ご存知ないのですね。
姫様、
あの別荘でのお方こそが、式部卿宮様ですよ。」

と言いました。



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