平安物語=短編集=【完】
そんな憂さの何よりの慰めは、大君です。
私より二歳お年上で十六歳でいらっしゃる大君は、北の方が不快にお思いになるのにも構わず、私にとても良くしてくださいます。
直接お会いしたことはございませんが、同じ東の対に住まう事もあって、しばしばお手紙をくださったり不便は無いかとお気遣い頂いたりしております。
女房達の噂によると、北の方は中の君ばかりをこの上なく大切になさって、大君にはあまり愛情を注いで差し上げなかったのだとか。
そういう辛酸を舐められたからこそ、大君はこんなにもお優しくていらっしゃるのでしょうか。
新婚のお婿様とのご関係も、非常に睦まじいと伺います。