平安物語=短編集=【完】
その頃、西の対の大きな一室の辺りが賑やかになり始めました。
前の庭の手入れなどをしている様子が窺われます。
御簾なども新しいものになりました。
何かあるのかと大君にお尋ねしても、大君もご存知ないようです。
事情が全く分からない事に苛立った侍従が、北の方にお伺いを立てました。
すると、身分の低い下男が遣わされて、
「紅葉の姫君のご結婚の部屋を整えています。」
と口上で伝えられました。