平安物語=短編集=【完】
「ふふ、もうお休みになるのですか?
お酒を召し上がったのですね。」
酔っておしまいになったのだと思って、掛け物を取って差し上げると、宮様はきょとんとした顔をなさいます。
「あ…ははははは!」
突然、上を向いて笑い出しました。
と思うと、ぴたっと止まって真面目な表情で私をご覧になります。
「紅葉の君…夫婦の営みをご存知ですか?」
「…?
男君のお召し物を整えて差し上げるとかですか?」
思いついた事を言うと、はあああっと大きな溜め息をつかれます。
「いや…良いんですけどね。
良くないんですが。
まあ、良いですよ。」
「まあ、勉強不足でして。
乳母に尋ねてみます。」
「いやいやいや、それには及びません。
それを教えて差し上げるのは、私の役目ですから。」
そう仰ってとても楽しそうに微笑まれるので、私もつられて微笑みました。
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