平安物語=短編集=【完】
***



「紅葉の君…紅葉の君。
愛しい人、おはよう、起きてください。」

優しく揺り動かすと、白い肌を露わにした紅葉の君が、寒そうにしがみついて来る。

その余りの愛おしさに気が引けながらも、なおも肩を揺すった。


「紅葉の君、私はもう帰らなくては。
見送ってはくださらないのですか?」

すると、パチッと大きな瞳を見開いた。

"帰る"という言葉に反応したのだとしたら…可愛すぎる。



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