平安物語=短編集=【完】



しかし、御結婚から十二年目のこと。
二十六歳の宮様が、ますます女らしくお美しくおなりの頃です。

初めて、殿が他所に通い所を作ったのでした。


一夫多妻の世ですから寧ろこれまでの方が珍しい事だったのではありますが、愛されないと歎く宮様にとって殿が"愛"人を作った事が、どれ程お辛かった事でしょう。

それ程足繁く通っていた訳では無かったのですが、宮様には分かってしまったのです。


「私がどんなに望んでも分けてもらえなかった殿の御心を、ほんのたまさかでも一身に受けられる人がいるのね。」

ぽつりと零された御言葉は、本当に重く苦しいものでした。



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