平安物語=短編集=【完】
その翌年、権力を一手に握っていた太政大臣が急逝なさいました。
世間も大騒ぎですが、このお屋敷に比べれば何て事はありません。
一人息子の殿は休む間もなくあれこれ動かれて、それを支える宮様方も様々な支度に追われていました。
葬儀が終わってもごたごたは収まり切らず、仏事の事などで宮様は忙しくお働きになりました。
更に、帝の新任厚かった太政大臣の後を継ぐ者として、大納言であった殿が内大臣に異例の昇進をなさり、そちらの宴の支度なども、殿の顔を立てるべく、宮様は本当によくお働きだったのです。
それなのに…
全てが一段落ついてやっとほっとした頃、あの恩知らずな殿は何をしたと思いますか?
宮様とお住まいのこのお屋敷に、愛人を連れて来たのでございます。