平安物語=短編集=【完】
なんとなく拍子抜けした、がっかりした気持ちになるのも浅はかで見苦しいものです。
右大臣様の立派なお姿を思い出してぼんやり過ごしていると、またお手紙が届きました。
『あたらしく得手折るまじ
許しをば椿の花にもらひおらねば
(もったいなくて、貴女を手に入れる事が出来ませんでした。
貴女自身からその許しを頂けていなかったので。)』
試されている、と思いました。
まるで私が昨夜右大臣様をお見かけして心惹かれてしまっているのを分かっているかのようです。
やはりこういう事に慣れていらっしゃるのですね。
悔しい気持ちと惹かれてしまう気持ちとの葛藤で、お返事も差し上げずに悩んでしまいました。