平安物語=短編集=【完】



すると、一旦お帰りになっていた少将様がいらっしゃいました。

昨夜のお礼を申し上げますが、いつもの温かな微笑みが見受けられません。

「お疲れのようですね。
昨夜のせいでしたら、申し訳もございません。
今日は早くお休みなさいませ。」

そう申しあげますと、

「ではこちらで休ませて頂けますか。」

と仰います。

そこまでお疲れなのかと心配に思って

「もちろんですわ。
今支度させましょう。」

と女房を呼ぼうとした時、間にあった御几帳が動かされました。

驚いて顔を隠しますが、少将様は寄っていらっしゃいます。

「一体どうなさったのですか。
お熱でもあるのでしょうか。」

そうオロオロしているうちに、少将様に抱きすくめられてしまいました。




< 717 / 757 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop