平安物語=短編集=【完】
すると、一旦お帰りになっていた少将様がいらっしゃいました。
昨夜のお礼を申し上げますが、いつもの温かな微笑みが見受けられません。
「お疲れのようですね。
昨夜のせいでしたら、申し訳もございません。
今日は早くお休みなさいませ。」
そう申しあげますと、
「ではこちらで休ませて頂けますか。」
と仰います。
そこまでお疲れなのかと心配に思って
「もちろんですわ。
今支度させましょう。」
と女房を呼ぼうとした時、間にあった御几帳が動かされました。
驚いて顔を隠しますが、少将様は寄っていらっしゃいます。
「一体どうなさったのですか。
お熱でもあるのでしょうか。」
そうオロオロしているうちに、少将様に抱きすくめられてしまいました。