平安物語=短編集=【完】
「そうですか…」
そう呟いて俯いてしまわれた少将様の肩が、少し震えているように思いました。
気まずい状態に困っていると、雨音に混じって、門が開いて牛車が入って来る音が聞こえました。
弟が帰って来たのかとほっとすると、
「まあ、右大臣様をお連れになったですって!?」
「殿がご一緒している時にこの雨に降られてしまわれて、ここにお連れなさったそうよ。」
「何て急な。
この前の方違えに続いて、ろくなおもてなしも出来ないわ…。」
という女房達の話し声が聞こえてきました。
右大臣様が…
ますます気まずさを増しましたが、少将様は
「…様子を見て参ります。」
とおっしゃって席を立たれました。
その御様子はやはり胸が痛くなるものでした…