平安物語=短編集=【完】



尼寺は、特に飾り立てるでもなく、しっとりとした佇まいで行啓を受け入れます。

場所柄に合わせて落ち着いた色柄の衣を召した皇太后様の気品高い美しさに、仏道修行に明け暮れる尼達も目を見張りました。


梅壺様は、墨色の綺麗な衣に袈裟を着け、豊かな髪が背の真ん中より短い辺りで揺れています。

上品で凛々しいお顔立ちからは、理想的な年の重ね方が感じられるのでした。



「お久しゅうございますね。」

「はい。
このような所までおいで頂きまして、ありがとう存じます。」


かつて恋敵であった筈のお二人は、本当に和やかに、久方ぶりの再会を喜ばれました。



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