平安物語=短編集=【完】
幼少の頃から皇太后様に可愛がられていらした、梅壺様の御腹の女一の宮もこの日に合わせていらしていました。
今は、院の異母弟である兵部卿宮と御結婚なさって本当に睦まじく暮らしていらっしゃいます。
匂うようなと言うより明るく華やかなお美しさの女一の宮は、お若い頃の梅壺様によく似ていらっしゃいます。
「まあ宮様。
しばらくお会いしないうちに、お美しくなられました。
本当に、昔のお母上によく似ていらっしゃること。」
「皇太后様はお変わりなく。
院もお元気ですか?
なかなかお訪ねも出来ませんで…」
「ええ、お変わりありません。
あなたにも若君にも会いたいものだと仰せですよ。」
女一の宮には、三歳になる男のお子がいらっしゃるのです。
昔から子供好きの院は、可愛い初孫を本当に愛しくお思いなのでした。
「若も、院と皇太后様を恋しがっております。
今日も、自分も皇太后様や母上にお会いしたいとぐずりまして。
機会を見付けて是非参上致しましょう。」
美しい紅葉を背景に高貴なお三方が談笑なさる姿は、絵に留めたいような素晴らしさでした。