平安物語=短編集=【完】



いかにも急いで書いたような字に、涙が溢れ出て止まりませんでした。


―早く帝に会いたい…


隣から御文を覗き込んでいた妹も、感激して涙を流していました。

「お姉様、勅命ですわ。

お体を休めないと…。」

出産で命を落とす例は少なくないので、心配しているのでしょう。

私も、帝に若宮をお会わせするまでは死ねないと思い、素直に従いました。



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