平安物語=短編集=【完】



帝も、悩んでいらっしゃるようでした。

皇族は普通、政には口を出せませんから、東宮には後見がいないのです。

そのため御息所を中宮につけて、東宮のお立場を確かにしようというお考えもあれば、そんな事をして東宮が太政大臣家に疎まれるようなことになれば、万が一帝の御身に何かあった時に、東宮が廃されるようなことも考えられないでもないのです。

ただひとえに東宮の御為だけに、帝は悩まれたのでした。



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