長閑【短編集】
鯉のぼり
「やねよりたかい〜こいのーぼり〜♪」
歌いながら庭を跳ね回る潤を見て思わず笑ってしまった。
やっぱりおじいちゃんから貰ってきたのは正解だったらしい。
「ねーママまだー?」
鯉のぼりを組み立てている最中に潤が私の服を掴んで急かす。
「もうちょっと。」
私がそう言うと
「はーい。」
と返事をしてまた歌を歌いながら歩き回り始めた。
何だか今日は何時もよりお利口さんになっている気がした。