罪線シンドローム

鎮魂歌

――今からニ年前。


俺は愛する人を胸に抱き、迫り来る炎を、ただただ見つめていた。


……これで総てが終わる。


……これで楽になれる。


“楽に”とは言えど、終わり方は壮絶。

身体を炎に包まれ、自らの皮膚が焼け爛れていくのを、この目にするのだ。

辛かろう……苦しかろう。


でも、それでも良かった。
原形すら朧げだが、今まで会いたくても会えなかった彼女をこの手に抱き、見つめ合いながら逝けるのだ。


それだけで十分。


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