人形と歯車
体育祭当日。



半分が終わり佐藤のクラスは二位だった。



「ラストはリレーで逆転出来ればかっこいいよね」



中井が言った。



後半はほとんど体育系クラブの出し物や応援合戦だ。



実際の種目はリレーしか残っていない。



「一位になれば優勝だっけ?あれ?まぁいいや。勝ちゃいいんだろう」



須藤が任せなさい、と言うと囲んでいたクラスの女の子達がかっこいい、と言った。



「いいのか?そんなこと言ってさ」



中井が言った。



「アンカーがダダに三番が俺なら間違いなく勝てるさ」




なぁダダ、とふる須藤。



「佐藤くんって足も早いんだ」



誰かが言った。



「はやくはないよ。一番に走る玉田と二番の山下の方が速いんだけど運動部がアンカー走ることは禁止されているからぼくがラストになっただけだよ」



そうしなければ運動部しか楽しめなくなるからだ、と聞いたことがあった。



「佐藤くんって何でも出来るんだね」



誰かが言う。



そんなことなんてないよ、と返した。



太陽がまぶしい。



今日はやけにあつい日だ。
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