花火
母親は半年ぶりに息子に会ったというのに、まるで部活帰りの息子を迎えに来たかの様な素振りだった。そこら辺が親と子の、切れることない絆というものなのかもしれないが。
「え~っ、またそうめん。これで何日連続」
莉那は不服そうに文句を言った。
「しょうがないでしょ、お中元で沢山貰ってるんだから。拓哉は文句ない?」
長野で生まれ、東京に出てくるまでの十数年間見続けてきたやり取りを目の前にすると、なんとなく帰ってきてよかったな、素直にそう思えた。
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